離婚後の問題
親権者・養育費・面会交流の変更
離婚後に、親権者を父母の一方から他方に、あるいは共同親権に変更したり、養育費を増額又は減額したり、面会交流(親子交流)の頻度や方法を変えたりなど、離婚時の定めを変更することがあります。
親権者変更の要件と考慮要素や、養育費不払いへの対処についてもご案内します。
親権者の変更
親権者の変更について、民法819条6項は、「子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子又はその親族の請求によって、親権者を変更することができる。」と定めています。
令和8年4月1日施行の改正民法で離婚後の共同親権を選択できるようになり、一方の単独親権から他方の単独親権への変更のほか、単独親権から共同親権への変更や、共同親権から単独親権への変更が可能になりました。
親権者変更の要件と考慮要素
裁判所が親権者変更を判断するための要件は、「子の利益のため必要」であることです(民法819条6項)。
そして、民法819条8項は、父母の協議により定められた親権者を変更することが子の利益のため必要であるか否かを判断するに当たっての考慮要素として、①当該協議の経過、②その後の事情の変更、③その他の事情を規定しています。
- さらに、同項は、上記のうち①当該協議の経過を考慮するに当たっては、父母の一方から他の一方への暴力等の有無、家事事件手続法による調停の有無又は裁判外紛争解決手続の利用の有無、協議の結果についての公正証書の作成の有無その他の事情をも勘案するものとすると規定しています。
なお、裁判所が定めた親権者を変更する場合は、上記のうち①当該協議の経過は考慮要素から除かれることになります。
養育費の変更
離婚時に定められた養育費の額について、増額あるいは減額の変更が認められることがあります。
そのためには、離婚後に事情の変更があったことが必要で、養育費の額を変更すべきと認められる程度の収入の変化や、再婚・養子縁組などが考えられます。
養育費不払いへの対処
離婚後、養育費が相手から支払われなくなることがあり、対処法としては以下が考えられます。
請求
- 裁判所の制度を利用する前に、まずは支払を促す手段です。
裁判所による履行勧告・履行命令
- 履行勧告は、家庭裁判所の調停や審判などで養育費の取り決めがある場合に、家庭裁判所から支払の勧告をする制度です。
- 家庭裁判所は、相当の期間を定めて履行命令を発することもできます。
裁判所による差押え
- 養育費の債務名義による強制執行
- 債務名義となる調停調書や公正証書などで取り決めた養育費について、給料や銀行預金等を差し押さえて回収する手続です。
- 養育費による先取特権の実行
- 調停調書や公正証書などのほか、父母間の合意で取り決めた養育費であっても、給料や銀行預金等を差し押さえて回収できる手続です。
- 令和8年4月1日以降に発生した養育費に適用され、原則として他の債権者に優先して回収できますが、子1人あたり月額8万円が上限額とされています。
面会交流(親子交流)の変更
面会交流の方法や頻度などについては、子の利益を最も優先して定めるものとされており(民法766条1項)、離婚時に定めをしても、その後に変更する必要が生じることがあります。
状況により、面会交流の頻度や時間を増やす、あるいは減らすことや、第三者機関の利用や間接交流をやめて通常の面会交流にすることなどがあります。
- なお、面会交流は、令和8年4月施行の改正民法により「親子交流」といわれるようになりましたが、このサイトでは、しばらく過渡期として「面会交流」という言葉と混在しています。
このページの著者
弁護士 滝井聡
神奈川県弁護士会所属
(登録番号32182)