親権

親権争いになったら


未成年の子は、親の親権に服します(民法818条)。

離婚を考えるようになった夫婦間では、未成年の子がいる場合、親権争いになることはよくあります。

その場合、父母のどちらかを親権者と定めなければ離婚は成立しないのが原則とされています(民法819条1項・765条1項、戸籍法76条、民法819条2項)。

親権争いになったら、このページ以下を参考にしていただければと思います。


親権者決定の流れ

離婚における親権者の決め方を考えるうえで、まず、一般的にいわれている親権者決定の考慮要素を見てみます。

  • 監護の継続性
    • 監護者の継続性と監護環境の継続性。監護者は同じでも居所が変わると環境が変わることになります。
  • 監護状況
    • 従来の監護・教育の実績、経済状態、生活環境などの事情を考慮。監護の継続性に含めて考えることもできます。
  • 母性的役割の尊重
    • 乳幼児について、母性的に接してきた側が監護者としてふさわしいという考え方。母親のことが多いですが、父親もありえます。
  • 子の意思の尊重
    • 15歳以上なら意向を聞くのは必須。15歳未満でも子の意向を尊重すべきとする考え方。
  • 面会交流への許容性
    • 子と別居親との良好な関係を保てるようにすることを重視する考え方。
  • 兄弟姉妹の不分離
    • きょうだいが離ればなれにするのは好ましくないとする考え方。

離婚協議も調停も話し合い

以上それぞれの考え方は、なるほど理屈としてはうなづけるところがあると思います。

しかし、夫婦間で親権争いになるとき、上記のいずれかが念頭にあることもありますが、根本的には「この子は自分のもとに」という思いや、あるいは相手への反発等からによることが多いです。

そして、離婚協議では話し合ってどちらを親権者にするか決めることになり、争いがおさまらず合意できなければ協議離婚はできません(民法819条1項)。

その次の手続としては、いきなり裁判にするのでなく調停に進む必要があります(調停前置主義。家事事件手続法第257条)。

この離婚調停でも話し合ってどちらを親権者にするか決めることになり、争いがおさまらず合意できなければ調停不成立とされ、残る手続は裁判となるのが一般的です。

裁判における和解協議と判決

裁判では、通常は和解協議がもたれ、これも話し合いであり、争いがおさまらず合意できないと和解は不成立になります。

そして、和解が不成立の場合に判決になり、判決では、離婚そのものが認められる場合に、裁判所によって親権者の定めがなされます。

親権者指定の手続

親権者指定の手続については、以下のページをご覧いただければと思います。
 親権者指定の手続     


親権の内容

親権には、通常、子どもについて次の2つの内容があるものとされています。

  • 身上監護の権利義務(民法820条)
  • 財産管理・法定代理の権利義務(民法5条・824条・791条3項・797条1項)

それぞれ身上監護権、財産管理権と呼ばれることもありますが、正確には権利のみでなく義務でもあります。

これら権利義務の内容については、以下のページでご説明します。
 親権者の監護権・財産管理権

離婚後は単独親権に

夫婦は、婚姻中は共同で親権者となりますが(民法818条3項)、離婚をすると、一方のみが親権者となります(民法819条1項)。

すなわち、離婚後は、親権者となった側が、上記の権利を単独で有し、義務を単独で負うことになります。

ただし、この離婚後の単独親権については、現在、見直しが検討されています。

また、後述するとおり親権と監護権の分離も可能とされています。

親権者とならなかった親の義務

離婚後に親権者とならなかった親も、子に対し、扶養義務(民法877条1項)に基づく生活保持義務を負います。

この生活保持義務は、子の生活を自分の生活と同程度に維持する義務であるとされており、親権者(監護親)から監護費用(養育費)を請求されれば、その分担をすることになります。

親権と監護権の分離

親権争いにおいて、父母の一方を親権者、他方を監護権者とする、親権と監護権の分離という妥協的解決方法が浮上することがあります。

一方が親権者として子どもの財産管理をし、他方が子どもを監護教育するという方法です。

財産管理・法定代理の権利義務と、身上監護の権利義務を分離・分属させるものであり、これは法的には可能です。

しかし、この親権と監護権の分離は、通常、離婚後の子どもの監護・養育について父母が協力できる関係があることが前提とされており、なかなか難しく慎重に考えざるをえない面があります。


親権の終期

親権に服するのは未成年者であり(民法818条)、成人年齢は18歳ですので(民法4条)、子が18歳になれば親権は終了します。


関連法令規定

以上の内容に関連する法令の規定のうち主なものを掲載します。

民法765条(離婚の届出の受理)
1項 離婚の届出は、その離婚が前条において準用する第739条第2項の規定及び第819条第1項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
2項 離婚の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離婚は、そのためにその効力を妨げられない。

民法818条(親権者)
1項 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2項 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3項 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

民法819条(離婚又は認知の場合の親権者)抜粋
1項 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2項 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。

民法820条(監護及び教育の権利義務)
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

民法824条(財産の管理及び代表)
親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

民法877条(扶養義務者)抜粋
1項 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

戸籍法76条 離婚をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
 一 親権者と定められる当事者の氏名及びその親権に服する子の氏名
 二 その他法務省令で定める事項

家事事件手続法257条(調停前置主義)抜粋
1項 第244条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。
2項 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。


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