親権

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センター南 横浜都筑法律事務所

親権者指定の手続

離婚協議・調停・和解の話し合いと裁判所の判断


未成年の子どもがいる場合、離婚に際し親権者を決める手続としては、、①離婚協議、②離婚調停、③裁判における和解協議という話し合いの機会があります。

他方、協議離婚で親権者指定を求める審判の申立てがされたときや、離婚裁判で離婚そのものが認められるときは、裁判所の判断で親権者が定められることになります(民法819条2項・5項)。

  • 裁判で控訴すれば再び和解協議がありえますが、このページでご説明するのは一審判決までの場面になります。

関連ページ 親権

      共同親権

離婚調停では話し合いで親権者を指定


離婚の手続として裁判所を利用する場合、まずは調停から始める必要があり(調停前置主義)、家庭裁判所での調停委員を介した話し合いになります。

その話し合いで、親権者を含め離婚について合意して調書に記載されると、離婚とともに親権者指定の効力が生じます(確定判決と同一の効力。家事事件手続法268条1項)。

離婚調停の全般的なことについては、以下のページやその派生ページをご覧いただければと思います。
   離婚調停         

親権者指定の調停も


協議離婚では、親権者を定めていなくても、親権者の指定を求める家事審判又は家事調停の申立てをしたうえで離婚届を役所に提出すれば離婚が成立します(令和8年4月1日から)。

その場合の調停も、家庭裁判所での話し合いになります。

裁判における和解協議では裁判官の心証開示も


離婚裁判では、一定の主張・立証がなされると、裁判官から和解協議をすすめられるのが通常です。

和解協議も家庭裁判所での話し合いですが、和解できない場合に判決を書くこととなる裁判官が、ときには心証を開示しながら協議を指揮します。

その結果、親権者を含め離婚について合意して調書(和解調書)に記載されると、離婚とともに親権者指定の効力が生じます(確定判決と同一の効力。人事訴訟法37条1項・民事訴訟法267条)。

手続・時間の経過


裁判における和解協議になったとき、離婚調停のころに比べると、調停不成立という区切りを経て、訴え提起や主張・立証などの手続が積み重ねられていて、かなりの時間も経過しています。

また、弁護士が代理人となっていれば、当事者本人が出頭しなくても大部分が裁判官と代理人の協議で進行し、当事者本人は裁判官から要請があったときに出頭するのが通常です。

裁判所による指定は共同親権か一方の単独親権に


協議離婚で親権者指定を求める審判の申立てがされたときや、離婚裁判で離婚そのものが認められるときは、裁判所が父母の双方又は一方を親権者と定めることになります(民法819条2項・5項)。

「父母の双方」は共同親権、「一方」はどちらかの単独親権です。

その裁判所による指定の判断について、民法は、「子の利益のため」、「父母と子との関係」、「父と母との関係」、「その他一切の事情」を考慮しなければならないと規定しています(民法819条7項前段)。

ただし、必ず父母のどちらか一方を親権者と定めなければならない「必要的単独親権事由」といわれる事情も規定しています(民法819条7項後段)。

必要的単独親権者事由


民法819条7項後段は、以下いずれかに該当するときは、父母のどちらか一方を親権者と定めなければならないと規定しています。

  1. 父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき。
  2. 父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき。
  3. その他の父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるとき。

これらは「必要的単独親権事由」といわれます。

そして、上記のうち2の「共同して親権を行うことが困難であると認められるとき」の該当性については、父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無や、親権者に関する協議が調わない理由その他の事情を考慮して判断することとしています。

親権者指定の従来の考慮要素


上記は、令和8年4月1日施行の改正民法819条の内容です。

従来から言われている親権者指定の考慮要素としては、一般的に以下のようなものがあります。

  • 監護の継続性
    • 監護者の継続性と監護環境の継続性。監護者は同じでも居所が変わると環境が変わることになります。
  • 監護状況
    • 従来の監護・教育の実績、経済状態、生活環境などの事情を考慮。監護の継続性に含めて考えることもできます。
  • 母性的役割の尊重
    • 乳幼児について、母性的に接してきた側が監護者としてふさわしいという考え方。母親のことが多いですが、父親もありえます。
  • 子の意思の尊重
    • 15歳以上なら意向を聞くのは必須。15歳未満でも子の意向を尊重すべきとする考え方。
  • 面会交流への許容性
    • 子と別居親との良好な関係を保てるようにすることを重視する考え方。
  • 兄弟姉妹の不分離
    • きょうだいが離ればなれにするのは好ましくないとする考え方。

ただし、これらは確定的なものでなく様々な考え方があり、どのような要素をどの程度重視するかは、具体的状況によります。

調査官調査


離婚調停や離婚裁判では、親権などに争いがある場合、必要に応じて調査官の調査が行われます(調査が行われないこともあります)。

調査官とは、心理学、社会学、社会福祉学、教育学などの専門的な知識や技法をもち、それらを活用して調査活動などを行う家庭裁判所の職員です。

調査の方法としては、父、母、子それぞれとの面談や、家庭訪問などがあり、これらによって調査官は争いの解決に役立つ情報を調査結果として裁判官に報告し、報告に意見を付することもできます。

この調査官調査が行われると、裁判官は調査結果を重視するのが通常です。

調停・和解・裁判離婚における離婚届


調停・和解・裁判のいずれの離婚においても、効力が生じた日から10日以内に離婚届を市町村役場へ提出する必要があります(戸籍法77条・63条)。

これは戸籍に記載してもらうためであり、既に効力が生じた内容についての報告的届出となります。

これに対し、協議離婚については離婚届を市町村役場へ提出することによって効力を生じ(民法764条・739条)、これは創設的届出となります。


関連する主な法令規定

  • 民法819条(離婚又は認知の場合の親権者)
  • 1項 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定める。
  • 2項 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の双方又は一方を親権者と定める。
  • 3項 子の出生前に父母が離婚(以下省略)
  • 4項 父が認知した子に対する(以下省略)
  • 5項 第1項、第3項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
  • 6項 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子又はその親族の請求によって、親権者を変更することができる。
  • 7項 裁判所は、第2項又は前二項の裁判において、父母の双方を親権者と定めるかその一方を親権者と定めるかを判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならない。この場合において、次の各号のいずれかに該当するときその他の父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるときは、父母の一方を親権者と定めなければならない。
    • 一 父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき。
    • 二 父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(次項において「暴力等」という。)を受けるおそれの有無、第1項、第3項又は第4項の協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき。
  • 8項 第6項の場合において、家庭裁判所は、父母の協議により定められた親権者を変更することが子の利益のため必要であるか否かを判断するに当たっては、当該協議の経過、その後の事情の変更その他の事情を考慮するものとする。この場合において、当該協議の経過を考慮するに当たっては、父母の一方から他の一方への暴力等の有無、家事事件手続法による調停の有無又は裁判外紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成16年法律第151号)第1条に規定する裁判外紛争解決手続をいう。)の利用の有無、協議の結果についての公正証書の作成の有無その他の事情をも勘案するものとする。

このページの筆者弁護士滝井聡
このページの著者

 弁護士 滝井聡
  神奈川県弁護士会所属
    (登録番号32182)