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手続の違いのご理解を

裁判所は調停前置主義


離婚手続には、協議、調停、裁判という段階あります(審判という手続もありますが例外的な方法です)。

それらの違いは、端的には、離婚協議は当事者間での話し合いであり、裁判所を利用する場合も調停は話し合いで、それで決着しないときに進むのが裁判ということになります。

裁判所には調停前置主義という制度があり、具体的な手続の違いをご理解いただくことが重要です。

離婚協議・調停・裁判それぞれの解説ページをご案内し、後半では調停前置主義について解説します。


離婚協議


裁判所を利用せず当事者間で話し合いをする手続です。
これにより離婚が成立すると「協議離婚」となります。


離婚調停


裁判所で話し合う手続です。
これにより合意が成立すると「調停離婚」となります。

なお、裁判所の離婚手続には調停前置主義という制度があり、これについては後述します。


離婚審判


調停は成立しないけれど主要な点は合意しており離婚させた方が双方のためになる場合などに、家庭裁判所が職権で審判をして離婚を成立させる方法です(家事事件手続法284条)。

実際に審判となる例は多くなく、例外的な方法です。


離婚裁判(訴訟)


離婚の成否を含め裁判所の判決で判断してもらう手続です。
これにより認容判決が確定すると「裁判離婚」となります。

ただし、裁判の中で和解協議もでき、これにより離婚が成立すると「和解離婚」となります。

調停前置主義 


以上のうち、裁判所を利用した離婚手続については、原則として、まず調停の申立をしなければならないとされています。
これを調停前置主義といいます。

法律の規定は以下のとおりです(第1項にある第244条は、家庭裁判所の調停事項・審判事項について規定した条文です)。

家事事件手続法257条(調停前置主義)

  1. 第244条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない
  2. 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは、この限りでない。
  3. 裁判所は、前項の規定により事件を調停に付する場合においては、事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。

このページの筆者弁護士滝井聡
このページの著者

 弁護士 滝井聡
  神奈川県弁護士会所属
    (登録番号32182)